天狗岳・・・東、西天狗岳とあって、美しい双児峰であります。東天狗岳は標高2645mで硫黄岳から続く爆裂火口跡が東壁に残っているために荒々しく見え、逆に西天狗岳は丸みを帯びて、まるで女性のよう柔らかな印象を受けます。白駒池から行くと、前半の3分の2はシラビソやコメツガの樹林帯の中を歩き、中山峠から先は森林限界を超えてハイマツ帯の中を歩いていきます。北八ヶ岳の中では異色ともいえるほど荒々しい、まるで南八ヶ岳を歩いているような感じを受けるのではないでしょうか。管理者個人的にはこのコースだけで南北八ヶ岳の全てが味わえる、という印象を持っています。
白駒池を出てニュウへ向かう

白駒荘を出て反時計周りに白駒池をまわります。左側に白駒池を見ながら、10分程歩くと急に池側が開けます。ここがニュウへの入り口になります。道標も立っていますのですぐに分かります。道標に従いここを右に折れます。この入り口周辺は普段なら枯れ沢になっていますが、大雨の後や雪解けの頃、梅雨の時期には水が流れています。最近木道がかかりましたので間違える事なく歩けるでしょう。
 
  ここを進み樹林帯の中に入ります。ここはとても苔のキレイな場所です。7,8分程進むと進行方向が明るくなってきます。湿原に出ます。ここも以前は荒れていたのですが、近年新しく木道をかけ直し、周辺の整備したのでここも大変歩きやすくなりました。 初夏の頃にはコイワカガミが咲き、湿原内ではワタスゲの白い穂が風に揺れているでしょう。

 この先は鬱蒼とした樹林内を進みます。ここからは陽当たりが悪く、いつもジメジメとしています。そのお陰かオサバグサがたくさん咲いています。梅雨の時期等にここを通る予定ならば、ソックスの予備を持っておくと重宝します。確実にぬかるんでいますから・・・。途中で枯れ沢を渡り、その先を進むと次第に大きな石が現れ始めます。もう少しで稲子湯とニュウの分岐になります。

 稲子湯とニュウの分岐は斜面の途中にあり、道標もしっかりと立っています。ここまででニュウまでの約半分来ました。時間にして30〜40分程です。これから本格的に登りになりますので、ここで一度休憩をとっても良いと思います。

 急に斜面 がきつくなります。あせらずにゆっくりと、ペースを守って登っていきます。急斜面 を登っては平になってをくり返して、この行程の最も急な斜面に取り付きます。といっても時間にして10分程ですのでがんばってください。登り切ると一旦平になりますので、ここで一息つく事ができます。やがて稲子湯との分岐になります。この場所も7月上旬頃にはコイワカガミが群生していて落ち着ける場所です。ニュウまではもう一息です。

 ここを過ぎ、最後にひと登りするともうニュウです。進行方向に目をやると、木々の間から空の青い色が見えているでしょう。森を抜けた場所がニュウの肩に当たる場所です。天気が良く、運が良ければ出てすぐ目の前に富士山が見える事でしょう。結構大きく見えます。この左側に目をやるとニュウの小さな岩峰が見えます。どうせなら岩場の上で休憩したいものです。ここまでで1時間10〜20分くらいです。

ここはこの周辺では最高の展望ポイントです。前述の富士山を始め目指す東天狗岳や硫黄岳が見え、奥秩父から裏妙義、浅間山から北八ツの峰が、そして遠くに北アルプス連峰が望めるでしょう。もちろん白駒池も見えます。思ったよりも離れている事に驚く事でしょう。

 このコースの良い所は、これからの行程に大きく関わってきます。実はここまで登ってしまうと中山峠まで大した登りがないのです。それに時々硫黄岳や天狗岳が木々の間から見え、登山道にはコイワカガミが道なりに咲いています。歩く以外に気を引く事があるのでそんなに大変であるということが感じられない、という利点があります。しかしここから中山峠まで樹林内を1時間ほど歩きますので、途中で休憩を挟みながら進んで下さい。

 樹林の中を歩き続けて約1時間、高見石〜中山から来た縦走路にぶつかります。ここはニュウからだとT字路になっていますので、ここを左に折れます。森の中とは違って明るく、開放的になってきました。しばらく行くと、左には稲子岳の岩壁が見えるでしょう。そして中山峠に着く手前でこれから向かう東天狗岳が現れます。一息入れて中山峠へ向かいましょう。中山峠に着きました。ここを左に下りるとみどり池方面へ、右に折れると黒百合平、そして真直ぐ行くのが東天狗岳です。ここで黒百合平へ行って休憩を入れても良いですし、直行しても構いません。

 

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